本にはいくつか種類がある。
東野圭吾や、湊かなえや、伊坂幸太郎等の人気作家によるエンターテイメントとしての本。
もしくは、いわゆる自己啓発と言われる、自身を高ぶらせてくれる本。
そして、エッセイです。
随筆と言われる分野になりますが、他者の経験を本を通じて体験できるわけです。

エッセイと言うのはおもしろくて、自分じゃ思いつかないような発想や視点に気付けるわけです。
それは作者が普通とは違う人が書くから面白いんですね。
逆を言えば、この世で最もいらない本は「誰でもない素人が自費出版で作った自叙伝」です。

誰でもないド素人の源田光広さんの自叙伝「ほないこか」です!


源田光広の「ほないこか」という自叙伝
今日のブログは、げんちゃんが自費出版した自叙伝を、一足先に読んだ僕がこの本の魅力について書いていきます。
皆さんはわかっていると思いますが、僕はお金を積まれたからと言って、むやみに人を褒めたりしません。
特に文章に関しては本当に面白いと思わない限り絶対にオススメしません。

例え、10万円積まれたって褒めたりしない。
だが、11万円積まれたらさすがに褒めちぎると思う。

さて、結論を言うと、ほんとにおもしろいです。
そして、言語化の鬼である僕が、この本がなぜおもしろいのか解説していきます。
今回のげんちゃんの本は「通常この世には存在しない本」だからこそ本当に面白いのです。

でも、その前に僕とげんちゃんの出会いから話していきますね。
かめぴょんと、げんちゃん
げんちゃんと初めて会ったのはつい最近です。
2021年11月7日に日本武道館で行われた、サーカスと言うイベントで会いました。
それまで、SNSで繋がっていてZOOM飲み会とかでコミュニケーションは取っていたので「やっと会えたね」という感じでした。
さながら、君の名は。のタキくんと三葉の関係です。

ただ悲しいのは、仮に「君の名は。」のように、心が入れ替わったところで体は二人ともおっさんだと言う事です。
そして、入れ替わっている事に気が付き、何かのきっかけでお互いの記憶がなくなっていっても、覚えていないのは昨日飲んだ酒のせいだ、という悲しい映画が出来あがるだろう。

源田的ヒッチハイク!!
げんちゃんは兵庫県に住んでおり、東京のイベント「サーカス」へはヒッチハイクで来るという暴挙に出ました。

完全に「進め!電波少年」のパクリです。
しかも、げんちゃんの作ったサムネがコレです。

ここまで堂々とパクれば逆に潔いという事を彼から学ぶことができました。
電波少年でのヒッチハイクの旅は、お金がない過酷な旅で涙を誘った。
猿岩石、ドロンズ、パンヤオと僕ら世代には懐かしいメンバーである。
特にパンヤオにいたっては、パートナー(チューヤン)とは「言葉の壁」があり、パートナーと意思の疎通もままならなく本当に大変でした。
ヒッチハイクには、そのような過酷なドラマがつきものです。
果たして、げんちゃんにはどんなドラマがあったんだろうか・・・?


ノートラブルで東京についた
なんのドラマもないヒッチハイクの旅でした。
会う前までは
でも、必ずいくから!

と、意気込んでいた。
本来なら、げんちゃんが間に合うか間に合わないか、ドラゴンボールZのクリリンが悟空が来るのを待っていたかのような展開が望ましいのだ。

だが、見た目は完全にメガネかけたクリリンであるげんちゃんは、ギリギリに登場するわけでもなく、なんならサーカス前日の飲み会にまで間に合っていた。
そして、その飲み会で僕らはリアルで出会ったのです。
サーカスと言うイベントについてはコチラを確認してください。

涙の理由がわからない
僕らは一緒に見たわけではないが、それぞれサーカスには感動しました。
僕は高揚しました。

そう、僕は西野亮廣も好きですがローランド様の大ファンでもあるのです。

サーカスは出演者全員素晴らしく、とても感動的で、涙を流している人も多くいました。
げんちゃんも。その一人でした。
後から聞きましたが
あっち側にいたかったなぁ

そっちの涙??
どんだけ自分を高評価してるんだよ!!

と、いうのが正直な印象でした。
ナメていた自叙伝「ほないこか」
さて、本題にですが、訳あってげんちゃんから本になる前の最終稿をデータでもらい、読ませてもらいました。

げんちゃんは特にブログをやっていたりするわけでもないので、どんな文章を書くは未知数です。
だから、僕は所詮素人が書く文章と言う気持ちを持っていました。
まぁ、げんちゃんの事だからどうせ思いつきで

と言う、いわば身内ノリを通り越してげんちゃん以外に誰も盛り上がらない自己満足本だと思っていました。
なので、心の底から「ぜってぇ、俺の方が面白い文書けるわ」と思ってました。

結論的にはマジで面白かったし、胸が熱くなりました。
そして、げんちゃんのことが好きになりました。
なぜなら、この本が「自己開示」そのものだからです。

自己開示と自己顕示の違い
「自分の話」には2種類あります。
一つは自分を良く見せようとする自己顕示(じこけんじ)です。
これは自慢話に大表される「俺すげぇだろ」です。
聞いてる方は「へぇー、すごいね」とだけ言っておけばいいんですが、すこぶるストレスがたまるやつです。

掛け布団カバーを付けるときに、結んだ紐がズレてることに後半に気がついて、最初からやりに直しになってしまう時くらいストレスがたまるのです。

ですが「自分の話」の中にも嫌われない方法があるのです。
いえ、むしろこの話方をすると人に好かれるようになります。
それが「自己開示(じこかいじ)」です。
簡単に言うと「共感できる自分の失敗談」を話すと言う事です。
同じ自分の話ですが、共感できる失敗談は聞いていてもストレスには感じません。
自分の話をする時は、この自己開示を意識しなければいけません。
モテた話をするよりも、フラれた話をする人の方がモテる。
モテないやつこそ、うさんくさいモテた話をする。
(出典:「カメペディア」)
徹底的な自己分析
もし僕が自叙伝を書くなら、自分のカッコいい話を書きます。
仮にカッコ悪い内容を書いたとしても「そういう過去を乗り越えたから今の成功がある」と言うふうに、最終的にはそのカッコ悪い内容をリカバリーして書くでしょう。
でも、この本は違うんです。
カッコ悪い内容ではじまり、カッコ悪いまま続きます。
情けない主人公の情けない過去です。
でも、それは僕達も経験してきたば事、僕たちが意図的に忘れてしまった過去です。
この本の魅力は徹底的な自己分析です。
げんちゃんが、この本で自分の人生を時系列で語っていきますが、相当自分と向き合ったことが読んでいてわかります。
不器用なげんちゃんは、それをそのまま書き出しています。

※不器用だからと言って文章が下手って意味じゃないよ
我慢し続けた男の最後の選択は自殺だった…
本は、げんちゃんの性格を形成する幼少期から始まります。
自叙伝で書かれているげんちゃんはこうです。
・怒られないために嘘をつく
・怒られないように生きていく
・自分の夢を、大人にやめとけと言われると諦める
・嫌なことからは逃げ出す
・仕事も中途半端で、上からも下からも頼りにされない
・逃げ出したいけど怒られるのが怖いから逃げ出せない
こんな自分とは向き合いたくもないだろう。
そんな経験は隠して、着飾った部分だけを見てもらおうとするのが普通です。
最初この本を読みはじめた時は、茶化した内容で書こうかなと思ってました。
例えば

下には下にいると言う事を確認できる本だ!
わしゃマントルか!

マントルとは、地球の核のこと
このように、おもしろおかしく創作する事も可能でした。
でも、そんな事できませんでした。
「逃げ出したいけど怒られるのが怖いから逃げ出せない」
誰もが、抱く感情だと思うがげんちゃんは9年耐えた。
そして、自殺を選択した。
こんなにも自分の事をさらけ出した自叙伝を、僕は茶化す事なんてできやしないんでちゅ~~!

今までに存在しない自己顕示本
このような本は絶対に存在しないでしょう。
僕らが本に求めるものは「救い」です。
何かを成しえた人のつらい過去を読めば
と、思えるのでしょう。
でも、げんちゃんの自叙伝は読み終えても現在進行形で成功していません。
しかし、自殺を経験して、自分の生きるベクトルや、この本を書くにあたっての自己分析の結果から、げんちゃんは確実に前を向いています。
でもね…確実に前は向いているんだけどね…
自叙伝というのは、結果のある人がゴールの向こうで書くものです。

出版社から絶対に出ない理由はこれです。
読み終わった後「頑張ったね」と言う感想ではなく、「頑張ってね」という感想になる自叙伝なんて読んだことありません。
スタート地点で書く本ではないのです。
さて、そろそろみんなが思っていたことを書きますね。


諦めた夢について
さて、僕はげんちゃんが「名探偵コナンのげんたくんに似ている」という事を、お伝え出来て非常に満足しています。
ついでに夢の話をしましょう。

それは、げんちゃんが夢を諦めまくってきた人間だと言う事です。
夢を諦めざる状況でもなく、努力すると言う道から逃げて、誰にも反対されなさそうな道を選択してきたと言う事です。
それは、皆さんにも当てはまる経験はあるんじゃないでしょうか?
げんちゃんは芸人になりたかったのです。
今、げんちゃんは諦めた夢をひとつひとつ追い直しています。
※その辺は自叙伝に詳しく書いてるよ!

この「自叙伝を書く」と言うのも、ひとつの夢だそうです。
だから、サーカスのまばゆいステージを見て、悔し涙を流したのです。
ステージの向こうに立ちたい自分がいて、その夢に向かう道は自分で選ばなかったからでしょう。
でも…みんなそうだよね?
僕も同じく、おっさんになってから夢を叶えにいってるので共鳴したのかもしれません。

最後に一言「僕には書けない」
僕はおもしろい文章は書けますが、ここまで自分を開示するような文章は書けません。
自己分析からも結構逃げてきている男です。
自分がどう思われてるかも人一倍気にするので、自分をよりよく見せようと努力しています。
そして、どう嫌われないかと言う事も意識いしているので、自分とも他人とも本音でぶつかるなんてことはまずしません。

だから、僕はこの本を読んで思いました。
僕には一生書けない本だ
そう思う一冊でした。
さて、話も最後になりますが、僕がげんちゃんの本で驚いたのが、その読みやすさです。
先ほど書いたエピソードも衝撃的ではあるものの、とにかく読みやすい。
スラスラ読めるんです。
とにかく文章構成がずば抜けていい。
細かいポイントですが、改行の仕方や、見出しの区切り方とかいわゆる「読ませ方」という素人がテキトウにやってしまうところが逆に異常に上手いんです。


ただの自己満足本ではありませんでした。
読み手の事を考え、きちんと構成されたプロ仕様の本です。
読みやすさ、面白さ、本気でオススメできます。
この本を読んで驚いたことを最後に一言でまとめます。
げんちゃんは2019年に結婚してます…


