えんとつ町のプペルの秘密を解明!ゲゼルマネーとヴェルグルの関係性
えんとつ町のプペルと言う映画はご覧になったでしょうか??
今回は、あの映画に出てくるお金について考察していきます。
キンコン西野さんのお金との向き合いかたのファンのかめぴょんです!
さて、えんとつ町のプペルは「ゴミ人間と夢を諦めない少年が星を見つけにいく」というストーリーです。
ですが、あの物語にはもう一つのストーリーが隠されているんですね。
それが「地域貨幣を守る町」と言う内容です。
長いけど、最後にファンなら驚く衝撃のエビデンスを添付しますので最後まで読んでね!!
えんとつ町の不思議なお金レター
えんとつ町で流通しているお金は「L(エル)」と言います。
三角形の硬貨と言うことはわかりますが、材質などはわかりません。
そして、最も不思議な特徴が腐ると言う事です。
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]え?
お金が腐る??[/chat]
描写としてはえんとつ町の煙突掃除の棟梁ダンさんがゴミ人間プペルに給与を渡す時に「腐る前に使えよ」と言うんですね。
どうやら、えんとつ町で流通しているお金は腐るのです。
さて、お金が腐るとはどういうことでしょうか??
それは時と共に価値が目減りするという事です。
分かりやすく言うと1000円が来週の水曜日には980円になってしまうという事です。
減価する(腐る)お金は実在した
Lのように価値が時間とともに減価するお金は実在しました。
どれも国が発行する法定通貨ではなく、地域限定でしか使えない「地域通貨」として存在しました。
その地域通貨で、減価する事で有名な2つが「ヴェーラ」「ヴェルグルの労働証明書」です。
価値が減るお金を「自由貨幣」と呼び、スタンプ貨幣という仕組みが使われています。
ヴェーラもヴェルグルの労働証明書も同じ仕組みです。
ヴェーラはドイツのバイエルン州のシュヴァーネンキルヘン地域で使われた地域通貨の名称。
ヴェルグルは、オーストリア・チロル地方の小さな町の名称。
ヴェーラは毎週水曜日に額面の2%の印紙(スタンプ)を購入して貼り付けないと使えないのです。
円で言うと、1000円札の裏に毎週水曜日の日にちが印刷されてるんですね。
で、その日付けが来ると20円分の印紙を貼り付けないと使えないんです。
更に次の週の水曜日まで持っていたら、また20円分の印紙を買わなきゃいけないから、960円の価値になってしまうんですね。
ちなみにヴェルグルの労働証明書は、毎週水曜日ではなく、毎月月初めに1%分の印紙が必要になります。
そして、えんとつ町のプペルの世界に存在するお金は仕組みはわかりませんが、これらと同じように減価するシステムになっています。
断言できます。
僕が断言するまでもなく作者である西野亮廣本人が断言しているからです。
※べつに僕が発見したわけでもないんだよ!
シルビオ・ゲゼルについて
ヴェーラにせよ、ヴェルグルの労働証明書にしても、これらの仕組みの根幹にあるのがシルビオ・ゲゼルと言う思想家の存在です。
シルビオ・ゲゼルは「ありとあらゆる物が時間とともに劣化していくのに対し、お金だけ腐らない事が秩序と自然を破壊し、人間を不幸にしてしまう」と提言していました。
ですが、当時のマルクス主義(資本論書いた人の思想ね)こそが正義だった時代ではコイツ誰やねん案件だったのです。
実際にシルビオ・ゲゼルは忘れられた思想家と呼ばれていました。
ですが、シルビオ・ゲゼルの予想は的中します。
このままの経済政策では、世界はインフレとデフレを繰り返し、第一次世界大戦が起こり、世界大恐慌と言う前代未聞の不景気が来ると…
シルビオ・ゲゼルは「こうした方がいい」と言う具体案まで提言したのに、ガン無視されました。そして実際に1930年までに予想通りの不幸な時代が来ました。
シルビオ・ゲゼルはこう言います。
[chat face=”ゲゼル.jpg” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]だから、言うたやん!![/chat]
「だから、言うたやん!!」はキンコン西野ファンならわかる、西野亮廣のおもしろいやつです。
それでも、世の中は強引な資本主義を貫き続けた結果がナチス・ドイツによる独裁です。
シルビオ・ゲゼルは異端者として法廷にかけられます(無実になったけど)。
[chat face=”ゲゼル.jpg” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]だから言うたやん!
今のお金には優しさがないねん!
だから倫理なき人のところに集まる仕組みになっとんのや!!
優しい人がバカを見る仕組みなんやで![/chat]
どうしてシルビオ・ゲゼルがコテコテの関西弁かは謎ですが、実際にそういう事なのです。
そして、事実それを証明した事件が起きました。
この事件こそえんとつ町のプペルの裏ストーリーのモデルです。
その事件の名前がヴェルグルの奇跡です。
世界恐慌を救った地域通貨ゲゼルマネー
経済学で、減価するお金や腐るお金はゲゼルマネーと呼ばれています。
それはシルビオ・ゲゼルが提唱したからゲゼルマネーと呼ばれているのです。
法則的にはアンパンマンが打つパンチだからアンパンチと呼ばれるのと同じです。
では、まずえんとつ町のプペルを思い出してみましょう。
↑ファンでも使ったことない謎の掛け声
劇中でスコップが語る炭鉱夫に語り継がれてる250年前の話です。
これこそえんとつ町の歴史なんですね。
この予告編にあるスコップのセリフを「250年前。海の向こうに随分荒れた町があった」の続きが凄いんです。
これは劇場で確認してください!
ヴェルグルの奇跡とは
ヴェルグルの奇跡というのは、世界大恐慌で失業者が町で溢れていた時にオーストリアで唯一失業者をゼロにした事を指します。
世界大恐慌で、失業者が世界中で増えた時に政府は色々な金融政策を試みますが、景気は低迷費し、失業者は増えていくばかりでした。
ところがオーストリアのチロル地方にある田舎町ヴェルグルという町では、公共事業の対価に「新しい通貨」が使われました。
それが「労働証明書」と呼ばれるもので
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]あんたは公共事業に従事しましたので、それをここに証明します![/chat]
と、卒業証書みたいなものを渡されます。
卒業証書なら丸めて筒の中にいれて、筒のフタをキュポンキュポンして遊んだら押入れの奥にしまわれてしまいますが、なんとこの労働証明書は買い物ができるんです。
ヴェルグル地域のみですが、加盟店であれば生活必需品や税金を、この労働証明書で支払えるんです。
つまり、労働証明書とはただの証明書でありながら地域通貨としての機能を持っていたのです。
「失業者を減らすために、公共事業を作り地域通貨を作る」と言うのはごく普通の製作です。
しかし、ヴェルグルの労働証明書はなぜ奇跡を起こしたのでしょうか??
それは、なんとこの労働証明書がゲゼル・マネーだったんです。
減価するお金「ゲゼル・マネー」
難しいけどついてきてね!
テストに出ます!
買い物ができる証明書は月のはじめに1%分の印紙(スタンプ)を貼らなきゃいけないのです。
そんなお金を持ってたら皆さんどうしますか??
絶対に月末までに使い切りますよね??
例えば、28日になんらかの売買で労働証明書が自分に回ってきたら
[chat face=”woman1″ “align=”left” border=”red” bg=”red” style=”maru”]やば!
あと二日以内に使わなきゃ!
化粧水とか…
腐らないもの買わなきゃ![/chat]
そうすると世の中はどうなるかと言うと…
お母さん理論の破綻
[chat face=”woman1″ “align=”left” border=”red” bg=”red” style=”maru”]何かあったときの為に貯金しておきなさい!!
これからだって何が起きるのかわからないんだから貯めなさい![/chat]
[chat face=”woman1″ “align=”left” border=”red” bg=”red” style=”maru”]お年玉もらったからって、すぐに使うんじゃないよ!
お金は大切に使わなきゃだめよ![/chat]
というお母さん理論が全く通じないんです。
世界大恐慌の時は、当然ながらみんなこのお母さん理論になりお金を使わなくなりました。
お金を使わなくなると、どんどん景気は悪くなりお店は潰れ失業者が増えます。
新型コロナウィルス感染症で、目の当たりにしたでしょ??
で、失業者支援のための公共事業の支払いを腐るお金(ゲゼル・マネー)にしたら、みんな世界大恐慌だろうがなんだろうが、お母さんのいいつけにアンパンチかまして使いまくったんです。
実際にヴェルグルでは「税金を前納させてくれ!!」と言う人が、めっちゃくちゃ増えたんです。
税金なんて滞納が問題になるのに「腐る前に払えるものは払わせてくれよ!!」という逆転現象が起きたのです。
えんとつ町のプペルでダンさんが「腐る前に使えよ」と言うのはこういう意味なんです。
ゲゼル・マネーの最大のデメリットと呼ばれているのが「貯蓄性の無効化」です。
ですが、不景気時にはこれが最大のメリットになるんですね。
そして、えんとつ町のプペルはこの「貯蓄性の無効化」を最大のメリットにするための物語でもあるのです。
具体的な数字としての凄さ
ちょっとだけ込み入った話をしますね。
このヴェルグルの労働証明書、つまりゲゼル・マネーがどれだけ凄かったかというと、通常の14倍です。
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]え?
何が??[/chat]
流通の速度です
労働証明書は週に平均8回所有者を変えます。
1週間は7日しかないのに8回ですよ?
すごくないですか??
僕の友人(超イケメン)に同時に8人彼女がいたやつがいました。
1週間は7日しかないのに8人ですよ??
彼はクズです。
そして、これはお金の特質ですが、お金が移動すると言うのは価値が発生していると言う事なんです。
この驚異のスピードが、通常の貨幣の交換速度の14倍なのです。
シャア専用ザクでさえ通常の3倍なのに14倍ですよ?
お金が循環するという事は、その分救われる人がいるという事です。
ヴェルグルの軌跡の結末
何度も言いますが、これは本当にあった話なのですが、ヴェルグルの奇跡がおこり世界大恐慌なんてなんのそのとヴェルグル地域だけ失業者ゼロで景気が回復したのです。
政府が色々な金融政策をしても解決できなかった問題を、たった数ヶ月で回復させたのです。
そうしたところ、世界の経済学者は
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]ヴェルグルやべぇよ!![/chat]
[chat face=”woman1″ “align=”left” border=”red” bg=”red” style=”maru”]え?なに?ゲゼルマネー?
なにそれ、超イケてんじゃん[/chat]
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]ほな、わてらも真似させてもらいましょかのぉ[/chat]
となって、これでこの不景気を終わらせられる!となった時に、突如
ゲゼル・マネーは禁止だ!!
と偉い人がやってきたのです。
1932年に本当にあった話ですよ!
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]我々の通貨はシリングだ。
こんなものが流通したら、誰もシリングを使わなくなるだろう。
つまり、国家への反逆行為だ[/chat]
(シリングはオーストリアの通貨)
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]いやいや、そないなことゆうても労働証明書のおかげで街が活気づいてまんねん![/chat]
※かめぴょんは関西弁をよくわかってません。
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]黙れ小僧!
これは国家の通貨システムを乱すものだ!
発券と使用を禁ずる![/chat]
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]なんでやねん!
こんなうまいこと回ってるものがなんで禁止やねん![/chat]
こうして、大成功しているにも関わらず使用を禁じられたのです。
世界の歴史でみてもこんなに珍しい事はありません。
うまくいっているアイデアがパクられるのはよくあります
だが、大成功して結果を出しているものが禁じられるというのは不思議です。
ここがえんとつ町のプペルのストーリーにつながるんです。
その方法では儲けられない
普通に考えてアイデアをパクればいいじゃないですか?
でも、中央銀行はそのネタをパクれないんです。
なぜなら、中央銀行は皆から預かっているお金(預金)を人に貸し付けて利息を得ているので、貯蓄性がないゲゼル・マネーでは商売あがったりなんですね。
オーストリアの200もの地域がヴェルグルの奇跡からゲゼル・マネーを活用しようとしたのですが、それらは全て非中央集権になるからと言う理由で廃止となったのです。
そして、再び世界大恐慌の波にのまれヴェルグルは失業者30パーセントの町に戻りました。
えんとつ町のプペルは、ここまではまさに同じ内容です。
えんとつ町誕生の理由
映画ではスコップはサラッと語っていましたが、僕はこの話こそえんとつ町のプペルの醍醐味だと思っています。
えんとつ町のプペルの裏ストーリーはレターと言う地域通貨(ゲゼル・マネー)を守るために作られたのがえんとつ町と言う事なのです。
映画では250年前にレターという減価する貨幣を作った、シルビオ・レターは国家の通貨システムを乱す犯罪者扱いとなり処刑されました。
その後、その子孫は中央銀行の目の届かない場所を探し、町を作ったのです。
それが、えんとつ町です。
4000mの崖と海に囲まれた場所
そして、空から見つからないように町は煙をたいて空を覆ったのです。
映画では煙は「夢をさえぎるモノ」としてファジーな表現されていますが、実はシンプルに中央銀行の目に触れないようにするためのものという現実的な理由もあったのです。
えんとつ町のプペルの曲の一節で「嘘つき呼ばわりされたパパが言ってたよ」とありますが、嘘つき呼ばわりされたのはルビッチのパパ(ブルーノ)だけではなく、シルビオ・レターもまた嘘つき呼ばわりされていたのです。
そして、映画の最後は煙が晴れ船出です。
絶対に続きがあるはずです。
夢を諦めない物語と言う楽しみ方もありますが、えんとつ町のプペルを経済学から見るという楽しみ方もあります。
そして、西野亮廣の凄いところは、その設定力です。
町とお金とコミュニティが、かなり細かく設定されているので、そういう楽しみ方をしてみるのもいいと思います。
論より証拠!あの町の名は…
では、最後に僕のえんとつ町のプペルとヴェルグルの関係性の証拠をお見せします。
スコップの回想シーンで「荒廃した町」が出てきます。
250年前にシルビオ・レターがいた町ですね。
映画でも絵本でも、その町の名前は語られていませんでしたが、なんと台本に書かれていたのです。
※えんとつ町のプペルの台本は映画公開前に販売されていました。
持っている方は116ページを確認してみてください。
これです!!
(出典:映画えんとつ町のプペル台本)
あの町の名前はヴェルグルだった!
僕の仮説が当たっていた!!
まさか、台本にサラッとこんな秘密が隠されているとは思いませんでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想はレターポットでいただけると嬉しいです。
【参考文献:エンデの遺言】