なぜ「映画えんとつ町のプペル」が世界で評価されるのかを徹底解説!
えんとつ町のプペルという映画があります。
これはお笑いコンビのキングコング西野亮廣さんが手掛けたアニメーション作品となっていて、第44回日本アカデミー賞でも優秀アニメーションを受賞しています。
そして、海外の数多くの映画祭に招待され、とても高い評価をされています。
今回は「なぜ、えんとつ町のプペルは、こんなにも海外で高評価を受けているか?」と言うことにフォーカスしていきたいと思います。
[box04 title=”この記事でわかること”]えんとつ町のプペルは「公害問題」をテーマにした映画として世界で高く評価されていることの詳細[/box04]
社会(Social)
ガバナンス(Governance)
の、頭文字を取って作られた言葉のことだよ。
詳しく説明していくね!
それではレッツ西野、西野!
本題だけ読みたい方は目次で【06先進国が見ているESG目線での「えんとつ町のプペル」】意向を読んでね!
えんとつ町のプペルの海外受賞歴
まずは、えんとつ町のプペルの受賞歴です。
1.日本
第44回日本アカデミー賞
※優秀アニメーション作品賞
2.オランダ・ロッテルダム
ロッテルダム国際映画祭50周年記念祭
3.フランス・アヌシー
アヌシー国際アニメーション映画祭
4.中国・上海
第24回上海国際映画祭
5.カナダ・モントリオール
第25回ファンタジア国際映画祭
6.アイルランド・ダブリン
IFIファミリー・フェスティバル2021
7.スイス・バーデン
第19回ファントーシェ国際アニメーション映画祭
8.アメリカ・オースティン
ファンタジック・フェスト2021
9.北アイルランド・ベルファスト
第32回シネマジック・ベルファスト国際映画祭
10.オーストリア・ウィーン
JAPANNUAL 2021 – Japanese Film Festival
11.スペイン・バルセロナ
第54回シッチェス・カタロニア国際映画祭
12.オランダ・アムステルダム
シネキッド Cinekid
13.アメリカ・ニューポート
第22回ニューポートビーチ映画祭
14.オーストラリア・ブリスベン
第27回ブリスベン国際映画祭
15.アメリカ・ロサンゼルス in Hollywood
アニメーション・イズ・フィルム・フェスティバル
16.スウェーデン・ヨーテボリ
ヨーテボリ映画祭 プリズマ
17.カナダ・バンクーバー
スパーク・アニメーション・フィルム・フェスバル2021
18.カタール・ドーハ
ドーハ・フィルム・インスティテュート「第9回アジャル映画祭」
※最優秀長編映画賞
19.メキシコ・ロスカボス
ロスカボス国際映画祭
20.オーストラリア・ゴールドコースト
第1回アジア・パシフィック・ヤング・オーディエンス・アワード
21.イギリス・ケンブリッジ
第40回ケンブリッジ映画祭
しかし、残念ながら日本ではキングコング西野亮廣さんは、ぶっちぎりの低好感度を保持していた時期があります。
ですが、近年では手掛けるビジネスの多くが成功を収め、相方の梶原さんも登録者数224万人という芸人You Tuberのパイオニアとなっており、改めてキングコングが高く評価されており、キングオブ低好感度は過去のものとなりました。
今では、このコロナ禍にゲストも呼ばす二人だけのトークイベントで日本武道館を埋める最強コンビになりました。
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西野亮廣の怪しい信者ビジネス
とは言え、西野亮廣はなんだか怪しいビジネスをやっているに違いないという層が一定数います。
映画公開期間中も、ファンが何度も映画を見に行くこと、3回見に行ったら「3プペ目です」と言うくらいリピーターが多い状況にありました。
当時話題になりましたが「西野と一緒に映画を見る」というイベントがあり一部メディアで叩かれたりしていました。
うがった見方をすれば「信者ビジネス」のようにも見えるでしょう。
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]西野信者が何回も見に行って数字を押し上げてるんだ!![/chat]
[chat face=”woman1″ “align=”right” border=”red” bg=”red” style=”maru”]信者しか見に行ってない![/chat]
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]西野のことだから裏があるに違いない![/chat]
と、いう意見もあったでしょう。
ですが、それは日本においての話です。
仮に信者ビジネスたったとしたら、海外の映画祭で評価される訳がありません。
西野亮廣さんは、世界(映画界)で言えば無名の日本人です。
逆に無名であるがゆえに、海外での評価というのは、ヤリチン炎上芸人という色メガネを外した「作品力勝負」での結果だったのではないでしょうか??
えんとつ町のプペルのざっくりしたストーリー
さて、海外で評価の高いえんとつ町のプペルのざっくりとしたストーリーですが、至ってシンプルです。
トリッキーな内容はほぼありません。
[box05 title=”あらすじ”]厚い煙に覆われ、空を見上げることを禁じられた「えんとつ町」で、ただひとり、煙の向こうに「星」があると信じている少年ルビッチ。
彼は、ゴミから生まれたゴミ人間プペルと偶然出会い、友だちになる。
やがてあることをきっかけに、ルビッチはプペルと一緒に星を見つけに行こうと決意。
そんな2人の前に、町の治安を守る異端審問官が立ちはだかる。[/box05]
「果たして彼らは星を見つけられるのか!?」とかでもありません。
ストーリーが生まれた背景
僕達のような西野信者ファンからすると、えんとつ町のプペルは「嫌われ西野」や「若い頃のキングコングの葛藤」など、西野亮廣の生き様が随所に投影されたまばゆい作品になっています。
しかし、映画を見る人にはそんなの全く関係ありません。
昔、国語のテストであった「下線部の部分を書いた時の作者の気持ちを答えよ」って問題くらい、どうでもいいです。
日本では、どうしても「芸人が作った映画」という評価がついてまわります。
ですが、西野を知らない海外ではどう映るでしょうか?
作った西野亮廣は、ただのこの映画を作った日本人として見られます。
海外の人は、第3回ベストフォーマルウェアアワードの「KIMONO KNIGHT(着物ナイト)」を受賞する程、和服の似合う西野亮廣さんが…
まさか日本では洋服をビリビリ破られている芸人だとは思ってもいないでしょう。
[ac-box01 title=”ここをクリックすると海外の人が知らない西野が表示されます”]
[/ac-box01]
つまり、海外での評価と言うのはシンプルに作品力のみで評価されたということです。
そして、本題ですが「えんとつ町のプペル」がどうして世界に評価されたかがわからないのは、残念ながら日本人が「環境問題」に鈍感だからです。
海外では、えんとつ町のプペルは「公害問題」をテーマにした映画として評価されているのです。
世界が意識しているESGとは?
日本でも、ここ最近「マイクロプラスチック製品をやめよう!」「再生可能エネルギーに切り替えよう!」という動きが見られますよね。
これは世界が「このままじゃ地球はヤバい」と本気で考えているからです。
冒頭にも書きましたが、ESGとは
環境(Environment)
社会(Social)
ガバナンス(Governance)
の頭文字を取った略称です。
日本の感覚だと、環境問題を考えることはなんとなく綺麗事のように聞こえますが、先進国の中で環境問題意識がムチャクチャ低いのが日本の特徴です。
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]地球のために?
そんなの環境問題詐欺でしょ?[/chat]
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]環境問題?
その裏では政治家と大企業に金が集まってるんだよ![/chat]
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]アメリカの地球温暖化詐欺に騙されるな![/chat]
実際に僕の耳にもこんな声が届いたりしていて非常に悲しいです。
日本人はどうにも「偽善」と「詐欺」と言う言葉が好きなようで、地球環境の事を考えながらビジネスをすると「環境問題で儲けようとする詐欺だ!」という発想を持ってしまいます。
ESGをざっくり理解した上で、えんとつ町のプペルの世界観と照らし合わせてみましょう!
とりあえず「ESG」をざっくり説明
ESGは難しい言葉で色々言ってますが、要約するとこんな感じです。
[box04 title=”Environment(環境)=Eについて”]地球は人類が経済的な豊かさを優先して発展してきました。
その結果さまざまな環境課題を抱えてしまいました。数年前までは「地球温暖化問題」と言っていましたが、現在は温暖化だけにはとどまらないので「気候変動問題」と言っています。[/box04]
[box04 title=”Social(社会)=Sについて”]利益を追求する行動が、多くの社会課題を引き起こす事があります。
それは「貧困」「格差」「児童労働」「教育が受けられない」等です。[/box04]
[box04 title=”Governance(ガバナンス、企業統治)=Gについて”]「企業が健全な経営を行うための自己管理体制」のことです。
不正会計や不適切営業など、社会全体に悪影響を及ぼす企業不祥事が後を絶ちません。
企業がしっかりとした自己管理体制を備える事が、社会の持続的な発展の大前提となります。[/box04]
「えんとつ町のプペル」と環境問題について
企業は環境に配慮しながら経営をするとコストがかかります。
環境なんて無視したほうが利益はあがるので、昔はお金に取り憑かれたように環境破壊をしてきました。
ですが、世界の有識者は「それじゃ、だめだ」とESGという考え方を掲げました。
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]開発には環境破壊が伴うが、環境保全しつつ開発するようにしよう![/chat]
[chat face=”woman1″ “align=”left” border=”red” bg=”red” style=”maru”]「次世代のニーズを損なうことなく、現在のニーズを満たすこと」とを目指しましょう。
つまり、今が良ければそれでいいではダメです![/chat]
読者の皆様は、これがいつの話だと思いますか?
これは1986年のブルントラント委員会での話です。
ちなみに、委員長のブルブラントさんは、後にノルウェーの女性初の首相となります。
[chat face=”man3″ align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]え?
環境問題とか温暖化とか、世間が言い出したのってわりと最近じゃない??[/chat]
日本ではバブル崩壊後に、20年間の不景気(失われた20年)がありました。
不景気の中で生き抜くには、なりふり構えないので「環境問題」なんて考える暇がなかったのです。
なので、日本では信じられなかいもしれませんが、先進諸国では「このマンションの電気は化石燃料ではなく再生可能エネルギーを利用しています(環境配慮型)。」というと、相場より7%高い賃料でも借手が付くんです。
[chat face=”man3″ align=”right” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]再生可能エネルギーの方がその分電気代が安いってこと?[/chat]
環境意識の高い人は「自分が使っている電気が環境破壊をしているか?」と言う事を気にするのです。
お金を払ってでもクリーンエネルギーを使いたいと言う意識は、僕達日本人にはなかなか理解できないでしょう。
日本は「良いものをより安く」というお金の奴隷から抜け出せていません。
先進国では、環境を破壊して利益を得ることは悪とされています。
持続可能な開発という価値観があります。
そして、このESG目線でえんとつ町のプペルを見るとどう映るでしょうか??
先進国が見ているESG目線での「えんとつ町のプペル」
さて、ずいぶんと長くなってしまいましたが本題です。
ESGの事を丁寧に理解したうえで「えんとつ町のプペル」を見てみましょう。
煙に覆われた街
西野亮廣さんは、煙の向こうの星は「人生に折り合いをつけてあの時捨てた夢」を表現してますが、ESG目線(海外目線)では、煙はシンプルに公害です。
「環境破壊を繰り返して劣悪な状態になった世界」として見るでしょう。
大量の工場とえんとつ
ESG的に世界を見ると、もっとも減らさなければいけないのが「化石燃料による発電」です。
えんとつ町は、あんなに煙が出るしススが出るってことは石炭を燃やしている可能性が高いです。
しかも、あの規模の工場なので石炭発電所クラスの公害が出ている事は間違いありません。
日本人以外には「えんとつ町」は、現在世界が抱えている大問題「気候変動の根源」である、公害の町として映るわけです。
主人公は「ゴミ人間」ですからね、普通に公害をテーマにした映画だと思いますよね。
えんとつ町の煙を吹き飛ばすシーン
ネタバレですが、別に問題ないと思います。
予想通りキチンと映画の終盤では、ルビッチが町を覆う煙を吹き飛ばします。
そして、それを見たレター15世はこう言います。
煙を止めよう。
未来を…未来を迎えるんだ
ESG的に見たら、これはもう環境負荷の強い既存事業からの脱却を指しています。
植物の重要性が表現されている
産業革命が起きて、エネルギーとして埋蔵されている化石燃料を燃やしてしまったがために地球上に温室効果ガスが充満しています。
その温室効果ガスを吸収できる唯一の存在が植物です。
ですが、経済的利益を優先した既存事業により森林は伐採され植物の量も減っています。
えんとつ町では光が差さないため植物は地上には存在しなくなっています。
現在、人間は経済的利益の為に「化石燃料を燃やし、それを守る植物もなくなる世界」に向かっています。
残念ながら、日本人の価値観は「なんで環境配慮しなきゃいけないのか?」を考えるステージです。
ですが、えんとつ町のプペルを高く評価した先進国の人達の価値観は「なんで環境配慮しないのか?」という価値観を持っている人達です。
座礁資産について
パリ協定の-2℃目標では、地球に埋蔵されてる化石燃料の2/3は燃やせない計算になっています。
石油関連産業は、エネルギー転換に伴って巨大な移行リスクを負うことになります。
石油は今は高く売れるけど、CO2の排出が望ましくないという社会になると、CO2を排出する石油等は経済的価値を失うということです。
投資家は価値が下がるものに投資はしないので「今は価値があるけど、投資回収の見込みが立たない資産」を座礁資産と呼びます。
パリ協定は、2015年にパリで開かれた、温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意さたよ
繰り返しになりますが、えんとつ町のプペルのラストは「環境問題に立ち向かい、環境負荷の高い既存事業からの脱却」に見えるのです。
えんとつ町のプペルは「お金と公害」をテーマにした作品
えんとつ町のプペルで、おもしろいのが環境問題だけではありません。
人類が環境破壊を辞めない理由は経済的利益です。
地球の未来より、目先のお金の方が大切だと思わせるほどお金には魔力があります。
そして、えんとつ町のプペルの裏テーマと言えるのが、お金の奴隷解放宣言です。
えんとつ町に存在する「レター」と言われるお金は腐るお金です。
お金が腐るとは「時間と共に減価する」と言う性質のことで、これは実在したお金です。
また、この「減価するお金」こそが世界恐慌の時に唯一失業者をゼロにした奇跡のお金(ヴェルグルの奇跡)と言われています。
しかし、奇跡のお金は中央銀行(既得権者)にとっては都合の悪いものだったので、理不尽にも減価するお金を禁止しました。
えんとつ町の存在理由は、この奇跡のお金の復活にあるのです。
これは「ゲゼル・マネー(減価するお金)」がモデルとなっています。
【シルビオゲゼル入門「はじめに」引用】
私たちは、まるでお金の奴隷のように働かされている感覚に襲われることが少なくない。収入が増えない一方で、食費や教育費の値上げに頭を抱え四苦八苦している。いつからこのようなお金の奴隷になったのだろう。
この奇跡のお金の提唱者はシルビオ・ゲゼルという人ですが、えんとつ町のプペルに出てくる、レターの先祖の名前はシルビオ・レターです。
ちなみに、えんとつ町とお金の秘密についてはこちらに書いてます。
https://kamepyonblog.com/chimneytown-silviogesell
公害とお金というのは密接な関係があります。
公害は経済的利益の代償とも言えるものです。
えんとつ町のプペルは、ストーリーにトリッキーさはありません。
ですが、先進国ではこの作品をESGという目線から「地球環境と、その裏にある巨額なマネーと利権について考え抜いた壮大な作品」として捉えられて評価されているのです。
だから、世界での評価が高いのです。
いかがでしたでしょうか?
こんな目線をもってもう一度えんとつ町のプペルを見るのと面白いですよ。
と、言うか西野亮廣さんスゴすぎる。
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