騒音で管理会社が役に立たない!分譲は直接注意しない理由!解決法は?
近隣住民の騒音が気になる場合、直接言いに行くのは気が引けますよね。
でも、警察に相談するというレベルではないし…と、お悩みの方も多いと思います。
そういう時に、インターネットで調べると「まずは、管理会社の人に相談しましょう」と書いてありますよね。
でも、いざ相談してみると
管理会社、全然役に立たない!!
さて、「騒音で管理会社が役に立たない」という意見がありますが、僕は不動産業界歴20年のマンション管理士ですが、これは半分正解で、半分間違いなのです。
結論を先に言うと、騒音問題に関しては…
賃貸マンションでは、管理会社が対応する。
分譲マンションでは、管理会社は役に立たない。
あなたの住んでいるマンションが「賃貸」か「分譲」なのかで、管理会社の対応は変わってきます。
その仕組みを、なるべく簡単に詳しく説明していくので、ぜひ最後までお読みください。
[box01 title=”このブログでわかること”]・騒音に関しては、賃貸マンションであれば管理会社に相談してみよう!
・分譲マンションであれば、直接言うしかありません。
・分譲マンションの管理会社は騒音には対応しません。[/box01]
騒音で管理会社が役に立たない!分譲は直接注意しない理由!解決法は?
マンションには、分譲マンションと賃貸マンションの2種類があります。
そして、どちらにも「管理会社」と言うものが存在しますが、「賃貸マンションの管理会社」と「分譲マンションの管理会社」というもは、名前は同じでも業務が全く違うのです。
賃貸マンションでは管理会社が騒音にも対応!
賃貸マンションというのは、マンション(共同住宅)に対して一人のオーナー(大家)がいます。
大家さんというのは、家賃をもらう事が最大の目的です。
ですが、大家さんの仕事には以下のものがあります。
・空室が管理(募集とか)
・家賃の入金確認(督促)
・設備のメンテナンス
・苦情対応
例えば、「エアコンが壊れた!」という時に、賃貸であればエアコン(設備)も家賃に含まれているので、壊れたらオーナー負担で直してくれます。
でも、分譲マンションであれば「エアコン」の所有者はあなたなので、エアコンは自分で直さなければいけません。
分譲マンションの管理会社に「エアコン壊れたんですけど?」と、電話しても。
管理会社、全然役に立たない!!
と、なるわけです。
しかし、これは居住者の勘違いとなっています。
そこで、まずは賃貸マンションと分譲マンションの違いを区別してみましょう。
騒音で管理会社が役に立たない!「賃貸」の場合は役に立ちます!
賃貸マンションと、分譲マンションの違いと管理の区別をしていきましょう。
賃貸マンションの管理会社というのは、「大家さんの代理」になります。
仕事内容はあなたの想像通りと言えます。
お部屋を借りたい!という、お客さんに部屋を貸すにも「家賃の滞納」がないように入居審査をしたり、保証人や保証会社の設定を行い、「大家さんは毎月家賃が入ってくるだけ」という状態にします。
なので、家賃の督促や、苦情対応というめんどくさい仕事は全て「管理会社」が行います。
そこには、もちろん居住者からの「苦情(騒音等)」も含まれています。
例えば、101号室の人が管理会社に電話して「201号室の人の騒音(足音)が、うるさいので注意してください!」と言ったとします。
この場合、賃貸の管理会社は「掲示板に注意喚起分を貼る」「201号室に手紙を書く」「201号室の人に電話をする」という行動を取ります。
それでも解決しない場合は、101号室と201号室の方を面談させて、騒音に関するお互いの言い分を「立会人」という立場で出席して解決をはかるという事もします(めんどくさいけど)。
しかし、このように管理会社が役に立つのは「101号室」も「201号室」も同じ所有者であり、その全権を管理会社が持っているから出来るのです。
例えると、賃貸マンションと言うのはひとつの国であり、大家さんという王様がいて、王様の指示による動く大臣のような管理会社がいて、賃借人が国民のような構図です。
図式
騒音で管理会社が役に立たない!「分譲」の場合は本当に役に立たない!
分譲マンションの管理会社というのは、共用部分の管理を行っているだけで「生活に関する苦情(騒音等)」や「専有部分の設備の不具合」には対応していません。
ちょっと意味がわからないと思いますが、雑に表現をすると
「玄関入って、部屋の中のことは一切知りません」
と、言う事になります。
管理費払ってるのに、どういう事??
全然、役に立たないじゃん!
ここがややこしいのですが、皆さんが支払っている「管理費」というのは、管理会社に払っているお金ではありません。
毎月支払っている「管理費」と「修繕積立金」に分けて、マンションの共通のお財布(管理組合の口座)に入ります。
そこで集められた「管理費」の中から、マンションの電灯やエレベーターの電気代や、各種設備の点検費などを支払っています。
その中の、「管理委託費」というのが分譲マンションの管理会社に支払っているお金になります。
しかし、賃貸マンションと違い全権を管理会社にゆだねたりはしていません。
では、管理委託費に含まれている業務とは一体何でしょうか??
ここを理解すると、騒音などの問題の時に分譲マンションの管理会社が役に立たない理由がわかります。
騒音で管理会社が役に立たない理由は、管理会社に騒音に関して注意する「権利がない」から!
先ほど、賃貸マンションは「ひとつの国」という表現をしました。
しかし、分譲マンションはというと「101号室」と「201号室」は別の国という扱いになります。
分譲マンションには「共用部分」と「専有部分」が明確に分かれています。
共用部分と言うのは「みんなで使う場所」のことです。
[box04 title=”共用部分の例”]・エントランスホール
・廊下
・エレベーター
・水道管(個別メーターまで)
・駐車場
・自分の部屋以外の照明器具[/box04]
分譲マンションの管理会社は、この「共用部分」の管理をする会社となっています。
厳密には、共用部分の管理をするのがマンション内で結成される「管理組合」です。
ですが、さすがに素人の集まりである「管理組合」では、専門的な事は分からないから、「お金を払って管理組合の仕事の一部を、管理会社に委託しよう」というのが、管理委託契約です。
なので、契約関係は「管理組合と管理会社」なので、居住者と管理会社は契約関係にないのです。
では、分譲マンションの管理会社に委託されている仕事を簡単に説明します。
[box02 title=”分譲マンションの管理会社の仕事”]・管理費や修繕積立金の徴収
・未収納金の督促
・集めたお金の使い道を決める会議の開催(理事会・総会)
・共用設備の点検
・共用部分の清掃
・駐車場の契約業務[/box02]
そうなんです…
実は、「生活環境(騒音など)への苦情対応」というのは入っていないのです。
もし興味がある方は、国土交通省が作っている「マンションの標準委託契約書」を読んでみてください(第11条は、共同の利益を害さないため「個人間の騒音」は該当しません)。👉コチラ
不思議に思うかもしれませんが、マンションというのは「部屋ごとに所有者が違う」ので、それぞれが権利を持っています。
なので、雑な表現ですが「戸建ての集合体」なのです。
お隣がものすごく近い町内会だと思ってください。
そして、管理組合は「町内会」のようなもので、管理会社は町内会の代理みたいなイメージです。
賃貸の管理会社はマンションに関する全権を持っていますが、分譲マンションの管理会社は騒音に関しても、なにも権限を持っていないのです。
だって、町内会みたいものですから。
では、ひとつ具体例を出します。
騒音で管理会社が役に立たない具体例!「町内会」に騒音は相談しないでしょう?
分譲マンションは、「戸建ての集合体」「お隣がめちゃくちゃ近い町内会」と表現しました。
それを踏まえて、騒音に関する以下の会話を読んでみてください。
でも、さすがに夜中とか、爆音とかだったら「近所迷惑」になるよね?
騒音で管理会社が役に立たない!対策方法を紹介!
分譲マンションの管理会社が、「騒音時に役に立たない」と言う事はお分かりいただけたと思います。
それでは、どうやって解決していくかいくつかの方法を紹介します。
騒音で管理会社が役に立たない!対策方法①注意喚起分の掲示!
管理会社が役に立たないとは言え、出来ることがひとつだけあります。
それは、「掲示板やエレベーターに注意喚起文を掲示する」ということです。
管理会社は、どちらか一方の話を聞いて、個別に注意すると言う事が出来ません。
なぜなら、そのような対応が契約に入っていないからです。
実際に、「上の階の騒音がうるさい!」という人の話を聞いても、結果的に
「別の部屋だった」
「下の階の人が神経質だった」
「その人にしか聞こえていない謎の音だった←」
と、いうことも現場ではよく起こっています。
ですから、「生活音についてのご案内」というようなタイトルで、「足音などは、思ったよりも階下に響いていますので、注意しましょう」のような、やんわりしたマナー文章を掲示する事くらいしかできません。
あまり、効果は期待できませんが、勘のいい人であれば気が付いてくれます。
騒音で管理会社が役に立たない!対策方法②優しい文章で直接投函
騒音トラブルにおいて、これが最も効果があります。
逆にこの「優しい文章で直接投函」で解消しなければ、警察か弁護士に相談するしかないと考えていいでしょう。
投函する際のポイントは以下の3つです。
①号室と氏名を記載する
②「やめてください」ではなく「お願いベース」で書く
③具体的な時間と対策方法を記載する
それぞれには根拠があります。
①号室と氏名を記載する
匿名で書くと「なんだこの手紙は!」と逆上することの方が多いです。
実際に手紙が破り捨てられて廊下に落ちているというケースが多発しています。
②「やめてください」ではなく「お願いベース」で書く
苦情なので、ついつい「困っています」「うるさいです」「辞めてください」「これ以上続くなら、法的措置も検討しています」など攻撃的な言葉を選んでしまいますが、これも逆効果です。
あくまでも、「ご配慮願います」や「お願いいたします」と言った下手(したて)に出る事が有効です。
また、法的措置にでるなら、通告なしに家庭裁判所に相談しましょう。
③具体的な時間と対策方法を記載する
ここを意外と書かないことが多いのですが、困っている「音の種類」「時間」「対策して欲しい事」を明記しましょう。
[box05 title=”具体例”]お子様の飛び跳ねるような足音が気になっております。お子様のことなので日中は仕方ないと思っていますし、こちらも生活しているのにそれほど気にはなっていないのですが、夜21時以降から朝の5時頃までの間だけは、私たちも休みたいので、玄関横のお部屋だけはカーペットを敷くなどのご配慮いただきたく存じます。[/box05]
騒音で管理会社が役に立たない!対策方法③直接訪問
これは、あまりオススメしませんが、いよいよとなると直接訪問しかありません。
間違っても、天井を棒で突く等をやってはいけません。
しかし、僕の経験上「直接訪問」でうまくいった話を聞いたことがありません。
だいたいが、大ゲンカに発展します。
また、よく管理会社に「どんな人かもわからないし、直接言いに行って暴れたりして、事件になったりしたら怖いじゃない?だから、管理会社から言ってもらえない?」と言ってくる人がいます。
正直なところ、管理会社の社員も人間なので「どんな人かわからないので、管理会社が契約外の仕事(騒音対応)して刺されたら、どうするんですか?」と思っています。
その後は、ほとんど場合が被害者の方が「もうこんなところ無理」と、マンションを売却して退去していきます。
まとめ
騒音で管理会社が役に立たないと言うのは「分譲マンションに関して」ということになります。
賃貸マンションの場合は、苦情の受付も管理業務に含まれているので相談する価値はあります。
まとめで言うと、騒音に関しては直接やんわりした文章で投函するのが一番いいでしょう。
というか、やんわりした文章で効果がないということは、そういう人であるということになります…。